お正月の蟹

男性

お正月、大晦日、その両方をごちそうで祝う地方に育ったわたしの祖父母の家では毎年の大晦日には茹でた蟹を3家族くらいで集まって食べていた思い出があります。

 

もちろん、年越し蕎麦も食べますし、なんならお刺身も食べてました。ゴージャスですね。おなかをはちきれんばかりにして、刺すような寒差の中を、場合によっては雪が舞うのを見ながら二年参りに挑むわけです。

 

街の中心部にある魚屋は、屋根付きの商店街の一角にあり、そこまでの買い物についていくのも毎年の楽しみでした。道路がいつも濡れていた記憶になっているのは雪解け水のせいでしょうか。
買って帰った蟹は、冷蔵庫と同じくらい寒くなっている薄暗い廊下に、夕食の時間まで大皿にのせておいてありました。従妹たちと遊びながら、何度も蟹の前を通るたびに、お夕飯のこの蟹をどのようにして食べようか。やっぱり脚が最初にほしいな、真ん中の体のところは食べるのが大変だから大人が食べてくれないかな?などと勝手なことを思いつつ、静かな大晦日はゆっくりと時間が流れて行ってたように思います。

 

夕食の時間になって、めいめいのお皿に蟹が取り分けられたあとの記憶は、おいしかったな!
というものしかありませんし、大人たちが無言だねぇと笑っていたことしか覚えていません。

 

それでも、茹で蟹はご馳走で特別なもので、あまくって、少ししょっぱくって、懐かしい記憶とともに忘れることのない特別な食べ物です。