とっつきにくいが美味な花咲ガニ

男性

花咲ガニを初めて食べた時の話です。

 

私の兄は子供の頃から北海道に憧れを抱いていて、高校を卒業後実際に北部のある島へ半年間アルバイトをしに出かけて行きました。
その時の土産の一つがカニ缶でしたが、正直美味しいとは思えませんでした。

 

生のカニの方がずっと美味しい。

 

その感想が証明されたのは兄の新婚旅行土産でした。
出された時の印象は紅色の甲羅が鮮やかだったことです。

 

こんなカニは知りませんでした。

 

でも体の表面は棘だらけでどうやって調理するのを思案しました。
まず関節の部分に包丁を入れ、胴と脚と鋏に大まかに別けることができました。
次は本体に包丁の切れ目を入れることですが、思ったよりも殻は堅く、文化包丁の刃が欠けそうになったので一旦止めて別の手段を選択したのです。

 

流しの丈夫な部分に置いて慎重に金槌で叩くことにしました。
やり方は簡単ですが、今思えばカニの美味な部分を押し潰すことにもなりかねないことです。
でもキッチン鋏を当時は持っていませんでしたから、他に方法を思いつきませんでした。

 

そうこうしているうちに殻にひびが入って、棘で指先を怪我しないように注意しながら中の身の肉を取り出すことに成功しました。
一回コツを覚えると身の全ての部分を取り出すのにそうは時間はかかりませんでした。
それまでのズワイガニとは違って濃厚な味がしたのを覚えています。
花咲ガニは正確にはカニではなくヤドカリの仲間(つまりはタラバガニと同じ)になるそうですが、量的にはタラバには及ばないものの美味な点では上回っていると思いました。
口を切らないように殻に残った身を吸い出し、幸福な一時が終わりました。後片付けも怪我をしないように慎重に処理したことを覚えています。
残念なことにあれから今日まで出会う機会は一度もありませんが、ぜひもう一度口にしたいです。持って来てくれた兄夫婦に感謝しています。